ロマン・キム「ソ連の忍者」

本稿ではソ連の忍者とも呼べる作家ロマン・キム(1899 ~ 1967)の伝記について新知見を含めて紹介する。ロマン・キムはソ連で初めて忍者・忍術を紹介した人物である。1927 年にボリス・ピリニャークの本への長い解説文である「蛇足」によってロシア語で初めての忍術の紹介を行った。キムは1960 年に入り忍術関係の小説を出版を計画し、1964 年の『幻の学校』に結実した。そのなかでは大衆的な読み物でなく歴史文献に基づいた忍術の知識が広く含まれている。キムは1922 年より秘密警察に協力し、日本に対する密偵として活動を始めた。対日本防諜で活躍したキムだが1937 年に日本の逆スパイの容疑で逮捕され、禁錮20 年を宣告されるが、戦後に免罪された。戦後は文筆業によって大人気作家になった。最近では1950年代から死ぬまでKGB と関係があることがわかったが、まだ経歴に謎と矛盾は多い。
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